ランサムウェアとバックアップ:できることと限界
優れたバックアップは、ランサムウェアの被害に遭ったあとにファイルを取り戻す最も確実な方法です。身代金の交渉をしなくて済むからです。ただし、バックアップは感染を防ぎませんし、慎重に設定していないと、破損したファイルまで保管してしまうことがあります。このガイドでは、バックアップがどう復旧に役立つか、限界はどこか、被害に遭ったときに何をすべきかを説明します。また、Tornova が現時点でできること、できないことも明記します。Tornova はランサムウェアを検知することも、ブロックすることもありません。
ランサムウェアはファイルに何をするのか
ランサムウェアは、多くの場合ファイルを暗号化して使えなくし、復号のための鍵と引き換えに支払いを要求する悪意のあるソフトウェアです。PC 上のファイルだけでなく、接続している外付けドライブや、PC から書き込める共有場所・ネットワーク上の場所にあるファイルにも影響することがあります。クラウドドライブと同期しているフォルダーは、被害ごと同期してしまうことがあります。
バックアップの観点で重要なのは、被害とはファイルが変更されることだという点です。マルウェアが手を出せない場所に、変更前の正常なコピーが保管されていれば、そこから戻せます。現在のファイルを単にミラーリングするだけのものは、被害もそのままミラーリングします。
バックアップが役立つ場面
バックアップは復旧のための層です。ランサムウェアを防ぐものではなく、被害から復旧できるようにするものです。この状況でバックアップが役立つ条件は次のとおりです。
- PC とは別のコピーであること。 別の場所に保管され、管理されたプロセスからしかアクセスできないバックアップは、文書のすぐ隣にあるフォルダーより、PC 上のマルウェアに書き換えられにくくなります。
- 複数の時点があること。 感染前のバージョンに戻せれば、最新のコピーが破損していても、正常なファイルを復元できます。
- オフラインまたはオフサイトのコピーがあること。 接続を外したドライブやクラウドのコピーは、マルウェアと復旧手段の間に距離をつくります。3-2-1ルール をご覧ください。
- テスト済みの復元手順があること。 緊急時には、復元が動くこと、そして所要時間を把握していることが重要です。
それでも、バックアップは保証ではありません。被害と焦りを減らしますが、その効果は、事故の前にどう設定されていたかによって決まります。
知っておきたい限界
限界は、バックアップが必要になってからではなく、必要になる前に理解しておくことが大切です。
- バックアップが被害をコピーすることがあります。 ファイルが暗号化されたあとにバックアップが実行されると、暗号化されたファイルが新しいバージョンとしてバックアップされることがあります。最新バージョンしか保持していない場合、正常なコピーが置き換えられてしまいます。
- 保持期間には限りがあります。 バージョンは上限まで保持されます。感染に長期間気づかないと、古い正常なバージョンがすでに残っていないことがあります。
- 選んだものしか対象になりません。 バックアップに含まれないファイルは保護されません。
- マルウェアは除去されません。 感染したままの PC にファイルを復元すると、再び暗号化されるおそれがあります。
- 盗まれたデータは戻りません。 攻撃によっては、暗号化の前にデータをコピーします。バックアップはファイルへのアクセスを取り戻すのに役立ちますが、情報漏えいを取り消すことはできません。
バージョンが重要な理由 バージョンがあるから、バックアップがタイムマシンになります。ファイルの以前のバージョンを複数保持できれば、暗号化された最新バージョンを避けて戻せます。そうでなければ、破損したコピーが唯一のコピーになるかもしれません。バージョンが使うストレージとのトレードオフは、バックアップのバージョン管理とごみ箱のしくみ で説明しています。
ランサムウェアへの備えとしてバックアップを活かす習慣
- 少なくとも1つのコピーは、PC に常時接続しないようにします。
- 大切なフォルダーではバージョン管理(世代管理)を有効にし、いくつ保持できるかを決めます。
- バックアップのアカウント自体を、強力で固有のパスワードと二段階認証で守ります。
- バックアップの結果を定期的に確認し、止まっていないかに気づけるようにします。
- 実際のファイルで復元をテストし、元のファイルに上書きせず、別のフォルダーへ復元する練習をします。
- Windows、ブラウザー、セキュリティソフトを最新に保ちます。Windows の大切なファイルを守る方法 をご覧ください。
Tornova の現状:できること、できないこと
このセクションは、上の一般的なアドバイスとあえて分けてあります。Tornova 固有の内容がどこかを、正確に見分けていただくためです。
Tornova はランサムウェアを検知もブロックもしません(提供している機能は 機能 をご覧ください)。現時点で、ランサムウェアのスキャン、異常の警告、ブロックの機能はありません。検知は今後のリリースで予定されていますが、すでに存在するという意味には読み取らないでください。Tornova は復旧のための層です。PC にはご自身でセキュリティソフトを導入する必要があります。
復旧に関連して Tornova が提供するものは次のとおりです。
- 任意のバージョン管理: 初期設定ではオフです。有効にすると3・10・50バージョンから保持数を選べます。バージョンはバックアップのストレージを使用します。
- Tornova のごみ箱(Trash):クラウドのバックアップデータが削除されると、1日間ごみ箱に残り、その間は復元できます。1日が過ぎると完全に削除されます。Smart Cleanup は、ファイルにチェックを付け、CLEAN UP と入力して確定するまで、何も削除しません。
- PC での削除はクラウドに反映されません: PC から消えたファイルのクラウドのコピーは残ります。
- 失敗したバックアップが、最後の正常なバックアップを損なうことはありません: 中断された、または一部だけのバックアップが、最後に正常だったバックアップを上書きすることはありません。
- 管理されたストレージへのアクセス: バックアップのストレージが公開されることはなく、アクセスには有効期間の短いアクセス認可が使われます。各 Windows Agent は、お客様のサインインとは別に、独自のデバイスの認証情報を持ちます。
- 任意の二段階認証: 有効にしている場合、復元を開始する前に追加の認証が必要です。
- 復元の管理: Organization(組織向け)アカウントでは、復元権限がバックアップ権限とは別になっていて、Restore Lock で復元をブロックでき、管理者は Emergency Stop でバックアップ動作を停止できます。
Tornova に特有の限界があります。継続的なバックアップやリアルタイムのバックアップはないため、最後のバックアップ以降の変更は保護されません。ファイルが暗号化されたあとに実行されたバックアップは、暗号化されたファイルを新しいバージョンとしてバックアップすることがあります。バージョンも、選んだ数までしか保持されません。Windows アプリ(Tornova App。ダウンロードページでは Tornova Agent)からサインアウトしてもスケジュールされたバックアップは止まらないため、一時停止の手段として頼らないでください。
公開しているセキュリティの詳細は セキュリティページ をご覧ください。
PC がランサムウェアに感染したかもしれないとき:落ち着いて行うチェックリスト
- PC をネットワークから切断し、外付けドライブを取り外す
- 何度も再起動したり、何かを削除したりしない
- その PC からのスケジュールバックアップを止める
- PC をクリーンにするか初期化する
- 安全な別のデバイスからパスワードを変更する
- どのバックアップバージョンが正常かを確認する
- まず別のフォルダーに復元する
- 隔離する。 Wi-Fi をオフにし、ネットワークケーブルを抜き、外付けドライブやバックアップ用ドライブをすべて取り外します。被害の拡大を抑えられます。
- 慌てて支払わない。 支払っても、使えるファイルが戻ってくる保証はなく、標的として狙われやすくなることもあります。信頼できる IT の専門家や、国のサイバーセキュリティ担当機関に相談してください。
- 感染した PC からのバックアップを止める。 壊れたファイルの新しいバックアップが作られて、古い正常なバージョンが保持期間から押し出されることは避けたいところです。お使いのバックアップソフトで何を一時停止できるか確認してください。Tornova では、アプリからサインアウトしてもスケジュールされたバックアップは止まりません。
- PC をクリーンにする。 マルウェアが残ったマシンに復元すると、同じ被害が繰り返されるおそれがあります。専門家によるクリーンアップか、Windows の再インストールが安全な方法です。
- 別の安全なデバイスからパスワードを変更する。 メール、バックアップのアカウント、感染した PC でサインインしていたそのほかのものすべてが対象です。
- 正常な時点を見つける。 ファイルが変更される前のバージョンを選びます。
- まず数個のファイルを別のフォルダーに復元し、開いて正常か確認してから、残りを復元します。Tornova では、同名のファイルがある場合に Keep both(両方を保持)、Skip(スキップ)、Replace(置き換え)から選べます。初期設定は Keep both です。
復元の手順全体は クラウドバックアップからファイルを復元する手順 をご覧ください。
よくある質問
Tornova Backup はランサムウェアから守ってくれますか?
Tornova は復旧のための層であり、ランサムウェアを防ぐ盾ではありません。現時点でランサムウェアを検知することも、ブロックすることもありません。選んだファイルのクラウドコピーを、任意のバージョンとともに保持することで、復旧に役立ちます。
ランサムウェアはクラウドのバックアップも暗号化できますか?
PC とは別で、管理されたアクセスからしか届かないバックアップは、ローカルのファイルより手が届きにくくなりますが、絶対に安全だと約束できる人はいません。感染後に実行されたバックアップは、暗号化されたファイルを新しいバージョンとして保存することがあります。そのため、バージョンと正常な時点が重要になります。
正常なバックアップがない場合、身代金は払うべきですか?
判断はご自身によりますが、支払っても、使えるファイルが戻ってくる保証はありません。決める前に、IT の専門家や国のサイバーセキュリティ担当機関に相談してください。
バージョンはいくつ保持すればよいですか?
感染に気づかないまま過ぎてしまう期間をさかのぼれるだけの数が目安ですが、バージョンが使うストレージとのバランスも考える必要があります。Tornova では3・10・50バージョンから選べます。
外付けドライブはランサムウェア対策のバックアップとして安全ですか?
マルウェアが動作するときに接続されていなければ、という条件付きです。常時接続したドライブは、PC と一緒に暗号化されることがあります。1つのコピーは接続を外しておいてください。
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